2010/11/07

ゴーストたちの恋愛指南!(2009)

Ghosts of Girlfriends Past (☆☆☆★)@WOWOW 録画

さて、WOWOWを契約してみるようになってしばらくたつが、楽しみのひとつは「未公開もの」だ。どうしようもないのもあるが、結構な割合でこちらの好みの作品が放送されている。

で、これもそんな一本だ。邦題ではコメディだろう、ということの他には何のことやらさっぱり分からんのだが、原題を聞けばピンとくるんじゃないか。

Ghosts of Girlfriends Past...ね?

そう、最近ではロバート・ゼメキス版も公開されたディケンズの『クリスマス・キャロル』の翻案なんだな。

ご存知のように、「クリスマス・キャロル」では、強欲なスクルージのところに3人の"Ghosts of Christmas" (Ghost of Christmas Past/Present/Yet to Come)が順番に彼の元を訪れ、過去・現在・未来をめぐり主人公に改心を迫る。本作では、女たらしのファッション・フォトグラファーのところに、過去・現在・未来の女の霊(生霊?、妄想?)が現れて、生き方を変えないと寂しい死を迎えることになると揺さぶりをかけられる。

主人公はマシュー・マコノヒー。この人は、無責任な軽さだけでなく、自信過剰で嫌な奴が実は真摯でいい奴という2面性や、揺れる胸のうちみたいなものを無理なく見せられる。3枚目もいけるが、2枚目もいける。『トロピック・サンダー』ではオーウェン・ウィルソンの代替みたいな役を演じたが、オーウェン・ウィルソンには本作の主人公は務まらないだろう。案外微妙な違いが大きな違いになるものだ。

で、この男を無責任な女好きに育てた師匠(叔父)が、なんと、マイケル・ダグラスだ。このキャスティングを思いついた奴は天才じゃなかろうか。映画ファン的に一番の見所は、ロバート・エヴァンスを模したと噂のダグラスの演技であることは間違いない。本作のヒロインで、主人公がかつて愛していた女性がジェニファー・ガーナー。まあ、ちょっとゴツいんだが、役柄としては合っている。そのほか、ロバート・フォースター、アン・アーチャー、ブレッキン・メイヤー、エマ・ストーン、、、映画好きにはわりと豪華な面々が出演。アン・アーチャーは久しぶりだなぁ。きれいだけど、さすがに歳をとった。

監督はマーク・ウォーターズ。この人、リンジー・ローハン主演の良作『フォーチュン・クッキー』『ミーン・ガールズ』のひとと知った。わりと信頼できる作り手じゃなかろうか。

主となるストーリーは、主人公がめちゃめちゃにした弟の結婚式の収拾をつける話と、かつて思いを寄せていた幼馴染の女性との関係修復という2本の柱に巧みにアレンジされ、並以上のロマンティック・コメディになっている。が、展開は、もう、そのまんま「クリスマス・キャロル」である。翻案ものの佳作としてはビル・マーレイの『3人のゴースト』と同等以上。この手のジャンルが好きな人にはお勧めしておきたい。

0 件のコメント:

コメントを投稿