2011/07/28

9 ~9番目の奇妙な人形(2009)

9 (☆☆☆)@WOWOW録画

劇場で見損なっていたティム・バートン製作、シェーン・アッカー監督によるCGアニメーション『9 ~9番目の奇妙な人形』をWOWOWの録画で観た。普段は字幕版を好んでみるのだが、今回はたまたま放送があるのに気がついて録画したため、吹替版での鑑賞。

お話しは、戦争で人類が滅びた後の地球で目覚めた麻袋で作ったようなデザインのロボット人形「9」が主人公。彼が自分と同じように、背中に番号がふられた仲間たちと出会い、さらわれた仲間を助けようと冒険を繰り広げる中で自分たちの存在の意味を知る。というもの。少しダークな感触の、寓話仕立てのファンタジーだ。

もともと監督が作った短篇があり、それを気に入ったバートンが製作を買ってでて長編化された作品なのだそうだ。独裁者が起こした戦争、テクノロジーの暴走、人間と機械の最終戦争、人類滅亡後の世界といった背景設定や世界観は、手垢がついたものである。また、生き残った人々(というか人形たち)のコミュニティにおける人間(というか人形)関係のドラマも、まあ、既視感があるわな。人類を滅亡へと追いやった機械の化け物のデザインなども、どこかでみたイメージの借用である。

が、それでもこの作品を面白く観た。一つ一つの要素は確かにとりたてて新しくはないが、ひとつの作品にまとまると化学変化を起こし、何がしかのオリジナリティが立ち上がってくるように思うのだ。だいたい、メインストリームのファミリー向け商業アニメーション作品としてはかなり異色のテイストである。そして、そこにこの作品の魅力と価値があると思うんだよね。

麻袋で作ったような人形たちのデザインが面白い。製作を手がけているティム・バートンが好きそうだな、と思う。麻袋っぽいといえば『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』に出てきたブギーに似ているし、ツギハギっぽく糸で縫い止めたりするのが、サリーだったり、キャット・ウーマンの衣装だったりを彷彿とさせる。単純なようでいて、9体それぞれの個性をデザインに反映させていて、なかなか楽しいしよく出来ている。

最後あたりの展開は、ちょっと意味不明。「生きている」というよりは、取り込まれたまま行き場を失った魂を解放するということだとは思うんだけど、日本語吹き替えだったので、もともとどんな台詞になっていたがわからないところにフラストレーションを感じる。やっぱり、オリジナル言語で聞きたい。

2011/07/22

ダブル・ミッション (2010)

The Spy Next Door (☆☆)@WOWOW録画

ジャッキ-・チェン主演のライオンズゲート作品『ダブル・ミッション』を観た。原題は"The Spy Next Door" a girl next doorならどこにでもいる女の子、だけれど、spy なんてそうそう近所にいてたまるかよ、的な洒落ですな。

で、実際、本作のジャッキー・チェンは、筆記具の輸入販売業をしている男という触れ込みで郊外の町にひとりで暮らしており、お隣りのシングルマザーと良い仲になっている、というところから話が始まる。本業はスパイなのだが、引退して結婚しようとしているのである。シングルマザーの子供たちはジャッキーのことをダサいおっさんだと思っていて、しかも、母親が結婚するとなると、本当の父親への思いもあって、抵抗を感じている。母親が留守のあいだ、子どもの世話を引き受けたジャッキー。そこに敵スパイの魔の手が迫る。

・・・とまあ、ファミリー向けのコメディ映画なのである。ジャッキー、相変わらず身近な小道具を使った器用なアクションを見せてくれるし、フィジカルな能力の高さはスゴイんだけど、アクション濃度はかなり低い。しょうがない、だって監督はブライアン・レヴァントだもん。シュワルツェネッガーの『ジングル・オール・ザ・ウェイ』とか撮ってたひとだよ?

しかし、この映画、のっけのところがスゴイんだ。オープニングタイトルで「主人公のスパイとしての大活躍」のダイジェストをみせてくれるのね。だけど、これがなんと、本物のジャッキー映画から抜いてきたアクションシーン総集編なのだ。なんか、米国進出後の映画の比率が多いのはご愛嬌だが、香港時代の作品、少なくともプロジェクト・イーグルは混ざってる。本編に足りないアクションを、せめてここだけでも堪能ください、ということかね。