2010/10/31

キューティ・ブロンド3 (2009)

Legally Blondes ☆★ (@WOWOW録画)

これ、そもそも存在を知らなかった。リース・ウィザースプーンの人気を決定付け、続編やミュージカルまでも生んだ『キューティ・ブロンド』の安い姉妹編的ビデオ映画である。第1作、第2作と連続して放送されたので、念のため(笑)見た。

リース・ウィザースプーンが演じたキャラクターが卒業したプレップ・スクールを舞台に、英国から越してきた双子の従姉妹が騒動を巻き起こす学園コメディ。。。って、まるで原型を留めてないじゃん!

まあ、テストのカンニング疑惑で、双子の一人が放校処分になるかどうかを決める学園法廷がクライマックス・・・で、かろうじて原題にある"Legally"の面目が保たれている。。。のか?

主演ふたりの演技もお遊戯会だしなぁ。学園コメディとしてもぬるすぎて、お話しにならない。リース・ウィザースプーンも名前貸しくらいのつもりか製作者に名を連ねているが、ゲスト的な顔出しすらしないんだから、まあ、ねぇ。

2010/10/28

今月の藤子F不二雄大全集(第2期第3回配本)

今月の刊行は2冊。

『ドラえもん(10)』
今回は、1970年度生まれ(小学校入学1977年4月)が読んだドラえもん。1977年4月~1982年3月まで6年分、72話。今回もずっしり重い1冊。単行本未収録エピソードは2話程度。

1977年には、「コロコロコミック」が創刊されている。1979年4月に(2回目の)TVアニメ化。この巻の後半3年は、映画原作「大長編」の執筆と時期が重なっている。

そういう意味で、ここ何冊かは、まさにドラえもん人気の爆発と、その絶頂期に執筆された作品群が収録されている、といえる。このあたりの時期は、私がリアルタイムに読んでいた時期と概ね重なってきていることもあるのだが、絵的・形式的・内容的に「ドラえもんといえば、こういう感じ」という完成形であるように思う。

『オバケのQ太郎(7)』
こちらは小学2年生掲載集。1965年1月~1967年2月。26話中12話が単行本初収録。第1話はオバQが卵から生まれるところから始まっているが、これもまた別バージョン。

神成さんの初登場エピソードがある。最初は、隣に越してきた気難しいおじさん、という登場。次に出てくるときには、すでにドロンパが一緒に暮らしている。ドロンパは相変わらずツンデレで萌え死にそうなほど可愛い。

まだ読みかけなので、あとでコメントを追記するかな。

2010/10/27

ウィッチマウンテン 地図から消された山 (2009)

Race to Witch Mountain ☆☆☆★ (@WOWOW録画)

劇場で見損なっていたドゥウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)主演のディズニー映画がWOWOWで放送されていたので録画鑑賞。ああ、楽しかった。ほんと。

本作、『星の国から来た仲間(1975)』のリメイクだという触れ込みだが、そもそもの原作があるらしく、その作者はアレグザンダー・ケイ。名前に聞き覚えあると思った人も多いだろう。そう、この人、宮崎駿『未来少年コナン』の原作としてクレジットされている「残された人々」の作者なんだね。

今回の映画では、ラスベガスのタクシー運転手をやっているロック様が一応の主人公だ。彼が不思議な少年・少女2人組を客として拾ったことから巻き込まれる、人類存亡をかけたアドベンチャー、という立て付けである。宇宙船や宇宙人の特殊能力を手に入れたい国家組織や、敵対する勢力が送り込んだ刺客から少年・少女を守り、政府組織が宇宙船を隠している要塞基地・ウィッチマウンテンに急げっ!

これ、ファミリー・ピクチャーではあるけれど、その出来栄えはかなりイイ。何がいいと言って、脚本の段取りが巧みで無駄がない。キャラクターの出し入れや活かし方もいい。ユーモアもあれば、ちょっとしたロマンスもあれば、主人公の更生もあれば、平和・環境というメッセージ性まである。こんなに盛り沢山なのにバランスが取れていて破綻していない。

演出のテンポも快調。子供向け・ファミリー向けを意識してか尺の長さは1時間40分程度なのだが、それ故に、非常に密度が高い。気持ちよく突っ走って後味の良い幕切れ。エンドクレジットで垣間見せる「その後」。いや、職人的に巧い。大作感はないけれど、丁寧。こういうのは気持ちイイ。

翻案・脚本のマット・ロペスはアダム・サンドラーの『ベッドタイム・ストーリー』、『魔法使いの弟子』なのでディズニー御用達ライターといったところか。共同脚本のマーク・ボンバックは『ダイ・ハード4.0』とか、トニー・スコット次回作『アンストッパブル』で売り出し中といった感じ?監督はアンディ・フィックマン。

2010/10/19

死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実 (2010)

You Don't Know Jack ☆☆☆★(@WOWOW録画)

本作は、HBOが制作した"Made-for-TV Movie"である。

HBOというのは、米国の、いわゆるプレミアム・ケーブル局である。ベーシック・チャネルというのは、通常、基本料金でみられる多チャンネル・セットの中に入っているようなやつで、追加料金を払わなければ見られないのが、このHBOやらSHOWTIMEやらといったチャネル。日本で言えば、WOWOWみたいな感じか。

しかし「なんだ、映画じゃないじゃん。TV局製作の単発2時間ドラマのようなものだろ?」とバカにしているとびっくりする。なにせ、監督は(まあ、過去の名前になっちゃったけど)バリー・レヴィンソンだし、出演はアル・パチーノ、ジョン・グッドマン、スーザン・サランドンと、まさに劇場映画並の布陣なんだから。今年の春頃、NYC旅行中にこの作品のポスターが街中に貼られて大宣伝中だった。あまりに派手なので、はじめは劇場公開作品かと思ったくらいだ。主演アル・パチーノと脚本アダム・メイザーがエミー賞を獲得。

さて、それが WOWOW に登場。気になっていた作品なので、見逃さないように録画した。内容は、米国で130人以上を「安楽死」させ、当局や宗教関係者などから「死のドクター」と目の敵にされたジャック・ケヴォーキアンという男を主人公とし、彼が患者の自殺幇助を初めてから、殺人罪で投獄されるまでを淡々と描いていくものだ。

安楽死ってのは難しい。世界に冠たる自殺大国の日本ですら、末期患者の延命措置をやめるというだけでおおごとだし、医師が患者の「自殺」幇助をするなどといったら大変だ。変に保守的なキリスト教徒がはびこる米国ではもっと大変だ。なにせ、自殺そのものが罪であるし、「神」の領域に踏み込むあるまじき冒涜行為とみなされる。

アル・パチーノ演ずるジャック・ケヴォーキアンは淡々と患者に奉仕をする。自ら死を選ぶことに決めた終末期の患者や耐えがたい苦痛を抱える人々の求めに応じ、安楽死を迎えられるよう装置や薬品を使って手助けするのだが、同時に、マスコミを使って自らの主張を広く社会に訴えていく。これは選択の権利の問題なのだと。賛否入り乱れる中、これを苦々しく思う当局は、幾度となくケヴォーキアンの起訴を試みた挙句、自殺幇助の罪ではなく、殺人罪での立件に踏み切る。

力作である。まあ、ジャック・ケヴォーキアンという人物の主張の中で、もっとも常識的に、人道的に、理解をしやすいところを中心に描いており、人物評伝としてはフェアではないのかもしれない。が、論点を、末期患者が自分の意思で自分の尊厳死を選択する権利に絞るのであれば、本作が提起する内容の重さに変わりはない。視聴者(=観客)にいろいろなことを考えさせるドラマである。

協力者の一人としてスーザン・サランドン演ずるキャラクターが登場する。最後は重度のすい臓がんにより自ら主人公に安楽死を求めることになるという、なかなか印象深い人物なのだが、いかんせん、主人公を中心に淡々と描かれるドラマの中で、出たり消えたり、印象深い脇役ではあるが、あまり本筋に絡んでこないあたりがもったいない。また、もともと医療過誤を扱っていた有能だが野心満々の弁護士がいい味を出している。

2010/10/13

ホワイトアウト(2009)

☆★ (@WOWOW録画)

織田裕二じゃなくて。ダークキャッスル製作のサスペンス。

ダークキャッスルといえば、ここ何年かはジョエル・シルバーの低予算企画向け製作会社に堕して(?)いるとはいえ、元来ロバート・ゼメキスとジョエル・シルバーが共同で立ち上げたB級ホラー専門レーベルであるんだからして、南極基地を舞台になぞの死体が転がる映画だときけば、どんな「物体X」か?と期待するのが人情というもの。

だけど、化け物はなんにも出てこないのだ。がっかりだよ。

実態は、単にダイヤの原石をせしめようとしたじいさんのせいで、南極に死体は転がるし、ヒロインは指を失う大迷惑という話であった。(そうなのか?)

違うものを期待してガッカリされても困るというかもしれない。

が。

いや、やっぱりそういう期待を裏切っちゃいかんだろ。

タイトルどおりの「ホワイトアウト」状態を映像にして見せてはくれるが、それって、何にも見えない状態だよね。劇場で見てりゃ、ちぃっとは寒そうだったかもしれん。内容が寒いだけに。

監督は『60セカンズ』『ソードフィッシュ』のドミニク・セナ。まあ、そもそも何かを期待できる名前じゃないけどさ。ケイト・ベッキンセールのサービスショットはあるが、それが目的なら『アンダーワールド2』をお勧め。

ああ、トム・スケリット。。。昔は好きな役者だったんだが。

2010/10/07

バーチュオシティ (1995)

☆☆☆ (wowow 録画)


自己顕示欲が強い不死身の悪党と、過去の因縁を抱えたヒーローが互いに己れの存在をかけて激突するはなし。

ただし、悪党はただの人間ではない。コンピューター上で200人近くの凶悪犯の個性を合成シミュレートした人格が、ナノマシーンが構成した人造人間として現実世界に実体化したものである。

スティーヴン・キングの原作を離れてどこかにいってしまった『バーチャル・ウォーズ(1992)』の監督であったブレット・レナードが、仮想世界の存在が実体化するというモチーフゆえかバーチャルものなら任せておけとばかりに登板。

監督は三流だが、主演は既に名声を確立していたデンゼル・ワシントン、超絶悪党を気持ちよさそうに演じるのはか『クイック&デッド(1995)』などでハリウッドに売り込み中だったラッセル・クロウ。後に『アメリカン・ギャングスター(2007)』で攻守入れ替えて競演することになるアカデミー賞俳優たちが、安っぽいアクション映画でガチンコ対決、これが本作の見所である。

近未来設定なのにブラウン管ディスプレイとか、今やテレビゲーム以下の安いCG描写とか、50テラバイトの人格を格納するクリスタル状の記憶装置とか、ナノマシーンが体を構成するのになぜ繭まで作るのかとか、ツッコミどころ満載だが、まあ、こういう映画だからうるさいこというまい。

2010/10/06

imdb のレイアウトを元に戻す

imdb にはもう長いことお世話になっている。Amazon が imdb を吸収したとき(1998)のことも覚えている。

iPad を買ってすぐのことだからしばらく前なのだけど、imdbのアプリがあるというので喜び勇んでダウンロードしてみたら、いつもと違うインターフェイスを作りこんでいた。それは、確かに iPadの画面サイズに最適化され、ライトな映画ファンがちょこっと調べる、見る、楽しむ、そして関連商品に関心を持った人を Amazon に誘導するにはよく出来ている

・・・と思ったが、私にとっては全く使いづらいだけで全く鬱陶しい。アプリは即刻削除。iPad上で imdb を見るときも、当たり前のように Safari からアクセスするようにしてきた。

ところが最近、PC/Mac から、ブラウザーで普通にアクセスしても、あの忌々しい iPad アプリ・ライクなインターフェイスが出てくるようになって、困っていた。深く掘っていくとこれまでの頁が出てくるから我慢して使ってはいたのだけど、やはり使いづらい。

しかも、何気なくブラウズしていて、日本公開済み作品のタイトルが、邦題ローマ字表記されることに気がついたから頭に来た。

ほら、たとえば、"It's Complicated"(邦題:恋するベーカリー)が、"Koi suru bêkarî " と出てくるわけですな。いや、完全に日本語化して、漢字・カナ表記にするならまだわかるよ。ローマ字表記って、おいこら、お前、ナめとんのか。余計なお世話だ。

しかし、業界人向けに imdb PROとかの有料サービスも立ち上げてきているわけだから、さすがに全部が全部こんなインターフェイスなわけでもあるまいと、久々に登録ユーザーとして「ログイン」をしたうえで隅々まで見ていると、あるよ、ありましたよ。個人設定。

ここからは、もし私と同じ不便さを感じていて、まだ解消出来ていない人もいるだろうということで情報共有がてらのメモ。

(1) ログインをして、右上肩の "xxxx's Account"をクリックするとですね、個人用の "personal page" が表示される。
(2) Registration Details, Personalize, History と三つのボックスが表示されている。要は、ここで色々いじったり、確認したりできるということ。
(3) "Personalize" のなかに "Update Your Site Preference" というのがあるので、これをクリック。
(4) "Show perevious title and name page design (reference view)" のチェックボックスをクリック。
(5) 他の項目は、好みに応じていじる。最初っから Full Cast & Crew 表示にしちゃうとか。
(6) 忘れちゃならないのは、"Title Display Country" が "Original" に、"Title Display Language" が "English" になっていることを確認すること。

これで当面、元通りの使いやすいレイアウト、インターフェイスになる。

多分、前提としては登録ユーザーになる必要があると思うのだけど、最新レイアウトが使いづらいとかいう文句が出るくらいのユーザーだったら、すでに登録ユーザーになっているか、登録ユーザーになることに抵抗は少ないんじゃないかと思う。同じ問題で困っていたら、ぜひ上記をお試しあれ。

まあ、親会社 Amazon だし、ライトユーザーのニーズに焦点を当てる方向はわからんでもない。多言語・多国市場対応も方向性としては理解できる。が、中途半端はだめだよな。やっぱり。

2010/10/03

Gone Baby Gone (2007)

Gone Baby Gone (2007) 北米版BDにて

新作 "The Town" の評判が良いということで、ライブラリから買ったままになっていたベン・アフレック実質的な監督デビュー作 『Gone Baby Gone』を引っ張り出してきた。映画好きには『ミスティック・リバー』、『シャッター・アイランド』の原作者として知られているデニス・ルヘインの看板シリーズ・私立探偵パトリック&アンジーものの一編(「愛しきものはすべて去りゆく」)を、ベン・アフレックが自ら脚色し、監督。をを、そうだ。こやつ、そういや『グッド・ウィル・ハンティング』のアカデミー賞脚本家だったねぇ。

舞台はサウス・ボストン。少女誘拐事件が発生し、警察の必死の捜査が続くなか、少女の身内の人間が主人公のところにやってくる。捜索を引き受けることになった主人公らは、街で育った強みを活かして聞き込みをかけるなか、少女誘拐事件の裏には、ヤク中でロクでなしの少女の母親が巻き込まれた麻薬ディーラーとの金銭トラブルが関係していることが分かってくる。警察との密接な連携で麻薬ディーラーたちとの取り引きが実現するところまでこぎつけるが、事件は思いもよらない展開を見せていく。

出演は、私立探偵コンビにケイシー・アフレックとミシェル・モナハン。警察署長にモーガン・フリーマン、刑事コンビがエド・ハリスとジョン・アシュトン。ヤク中の母親にエイミー・ライアン(本作でアカデミー助演女優賞ノミネート)。

これは、日本未公開に憤りを感じるレベルの1級品。もう、幕開けから映画の持つ肌触りが凡百の作品と違うから。

ストーリー展開そのものの面白さは原作に負うものとしても、ボリュームのある原作の骨子を、ドラマの面白さとテーマの重たさを損なわずに、114分というコンパクトな尺にまとめ上げてみせたベン・アフレックの脚色と演出の力は認めなくてはなるまい。(同じ原作者の『ミスティック・リバー』・『シャッター・アイランド』が共に138分だ!) 無駄なく、そしてテンポ良く、しかしサウス・ボストンの地域と人々が醸し出す独特の雰囲気をロケーション撮影で活写したディテイルは豊穣だ。ここらあたりはボストン・エリアで育ち近隣に詳しいこと強みが十二分に活きている。

モーガン・フリーマンとエド・ハリスはその名に恥じない手抜きなしの名演。しかし、本作の驚きはブロードウェイ女優のエイミー・ライアン。舞台となるエリアの下層階級ダメ人間なりきりぶりは演技に見えないレベルで、いったいこの人は何者?と驚かされる。実際、NYはクイーンズ出身の彼女がオーディションのときに話した「ボストン訛り」に騙されたベン・アフレックが「ボストンはどこらあたりの出身なの?」と尋ねたとか、ロケの初日にはセキュリティ・ガードが彼女のことを寄り集まった地元の人間と間違えて現場から締め出したとか、そんな逸話が残るくらいだ。

観客自身に自分だったらどうするかと考えることを要求してくるエンディングで、嫌な後味が残るのは事実。だから観客と体調を選ぶ作品である。虐待、ネグレクト、実の親というだけで、親として相応しくない人間・環境のもとに囚われている子供に果たして希望は、救いはあるのだろうか?主人公の自分の生い立ちを踏まえた判断に納得ができるか?

ベン・アフレックの新作もまた、ボストンが舞台。今度のは北東のチャールズタウンだって。