2012/10/19

機内上映で見たものの備忘録

個人的な事情で映画を全然見ることができていないので書くこともないや、といった感じではあったのだが、移動中の飛行機の中でこの間に見逃していた映画を含めて何本か見たので備忘録として残しておく。 

まあ、安座席の小さな4:3アスペクトの液晶スクリーンで見たのなんかは「映画を見た」といううちに入らないんだけどね、正直。

 ・Men In Black 3

新作をよそに真っ先に見てしまった。短くて気が楽だし。ずいぶん久しぶりに作られた続編だが、ノリは昔のまま。ジョッシュ・ブローリンがトミーリー・ジョーンズの若いときに見えてくるんだから、この男はすごい。終わりにかけての展開は、予期していなかっただけにほろりとさせられた。まさか、ね。

 ・Rock of Ages

 80年代ロック既成曲をパッチワークにした、いわゆる「ジュークボックス」ミュージカルのひとつ。ミュージカル好きではあるが、この手の安易な作品はあんまり好みではない。主演の(はずの)若いカップルを差し置き、ベテラン脇役たちが楽しそうに怪演。トム・クルーズは笑える。

 ・Brave

 「メリダとおそろしの森」。ピクサー作品を劇寿で見逃したのはこれがはじめて。作品の舞台や、ピクサーとして初めての女主人公(しかも人間!)であることなどから違った期待をしていたのだが、スケールが小さい、中途半端な母娘ものだった。できの悪いディズニー映画みたいでがっかり。

 ・What to Expect when You're Expecting

 緩く関係する複数カップルが妊娠・出産を期に経験する心の揺れや悩みなどを描くコメディタッチのドラマ。同名のベストセラーをネタにして脚色したらしい。こういう成り立ちの作品にうまいものはあんまりないけど、これもそんな感じ。でもキャストが豪華。キャメロン・ディアス、ジェニファー・ロペス、アナ・ケンドリック、エリザベス・バンクス、デニス・クエイド、クリス・ロック、(Gleeの)マシュー・モリソンなどなど。 日本では未公開だな。

 ・Seeking a Friend for the end of the world

 これは、あまりハリウッド映画調ではないユニークな1本。スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイ主演の、一応、ロマンティック・コメディというか、コメディ・タッチのドラマ・・・なんだけど、なんと、舞台設定が普通ではない。隕石の衝突が避けられず、地球上の全生命体が数日後には死滅することが確定した世界!そんななか、主役の二人が出会い、旅をし、惹かれ合っていくロードムービー風の作品に仕立てているのが面白いところ。「人生最後の数日を誰と、どう過ごすのか?」、地味で静かだけど、こういうの好き。

・People Like Us

トランスフォーマーやスタートレックの売れっ子脚本家の片割れ、アレックス・カーツマン監督作。父親が死んだが、自らには相続するような遺産も残されなかった代わり、ある女性とその幼い息子にちょっとした大金を渡すよう遺言があった。その女性というのが、存在すら知らなかった姉だった、という話。クリス・パインとエリザベス・バンクス主演。ドタバタ・コメディではなく、クリス・パイン演ずる主人公の成長を描くドラマとして作られている。まー、普通。脚本には監督本人と、いつものコンビ、ロベルト・オーチーがクレジットされている。こういうのも書けるよ、という挨拶代わりの作品だろうか。

・Safety not guaranteed

タイムトラベルに同行する仲間を募る新聞広告を見た雑誌のライターが、ことの真相を探って面白い記事にすべく広告主を探し出すのだが、この男、悔いた過去を改めるべく、日夜真剣にタイムトラベルの実行に向け計画を進めているような振る舞いである。いったいこの男は狂っているのか、それともなんなのか、という話。かなり面白い。この映画の終わり方には既視感があるが、それゆえに愛すべき一編になっているんじゃないか、と思う。ロマンティック・コメディ?SFi? あんまり見覚えのない顔ばかり出ている低予算作だと思うけど、好きだなー、こういうの。

・Safe

ジェイソン・ステイサムの。疲労とジェットラグのせいで途中、寝落ち。ちきしょー、面白くなりそうだったのに。

2012/01/17

近況

いや、あの、年末からこちら、なぜか多忙なんですよ。。。落ち着いて何か書こうという気分になれず、しばし開店休業ということで。

2011/11/28

最強絶叫ダンス計画(2009)

Dance Flick (★)

相も変わらず WOWOW録画で未公開映画の追いかけだ。

原題 Dance Flick、「ダンスもの」というタイトルの、ダンスもの映画のパロディ映画。邦題は、これが "Scary Movie" ウェイアンズ一派の作品であることを示す記号以上の意味はないな。(だって 絶叫=”スクリーム" 計画=ブレアウィッチ "プロジェクト"だし)・・・というか、他の作家のパロディ映画にも節操無く似た邦題をつけてるから、「ナンセンスなスケッチを並べたくだらねぇパロディ映画」の記号ということか。

しかし、このジャンルは死んだね。今世紀に入ってからコンスタントに作品を出しているのはウェイアンズ一派とフリードバーグ&セルツァー組なんだけど、両方とも全くもって面白くないんだもん。ウェイアンズ一派で始まった"Scary Movie"シリーズが、途中で何故かザッカー/プロフト組に先祖返りして「まともに面白い」映画になったことではからずも実証されたように、ジャンルの創始者たる"ZAZ"以降、それを越える才能が出てきていないってことだ。

で、本作。土台になっているのは、可愛気のない顔つきで日本では全く人気のないジュリア・スタイルズ主演の 『セイブ・ザ・ラスト・ダンス (2001)』で、バレリーナを夢見る白人の女の子が、母親の突然の死によって引越しを余儀なくされ、ヒップホップ・ダンスの得意な黒人の恋人と付き合うようになっていく流れに沿って、様々なナンセンス・ギャグやパロディが串刺しになっているというわけだ。

Dance Flick とはいうけれど、「ダンスもの」映画への愛とか尊敬がなさすぎるのがつまらない第一の理由なんだろうな。だいたい、ダンスものをネタにしたギャグも少ないんじゃないか。振付もダンスも酷いもので見ていられない。パロディであればこそ、そこは真剣にくだらないことをやるべきなんじゃないか。それと、ギャグが面白くないだけならともかく、不愉快なのもある。レイ・チャールズの扱いや、ゲイのネタ。いや、ほら、ダンスものなんだからゲイがネタになってもいいよ。"Fame" が "Gay" になるダンス・シークエンスは作品中でも数少ない「面白くなったかも知れない」シーンの一つだとは思うよ。でも、作り手の意識の低さが丸見えだから、笑えるより前に不愉快になるんだ。

ちなみに監督のダミアン・ダンテ・ウェイアンズは、我々のよく知るところのウェイアンズ兄弟の甥、本作の主演デイモン・ウェイアンズJr は名前の通りデイモン・ウェイアンズの息子。け、いつのまにか世代交代が起こってんでやんの。

2011/11/21

アラフォー女子のベイビー•プラン(2010)

The Switch (☆☆☆)

映画では決定打に恵まれないジェニファー・アニストン主演の、ロマンティック・コメディ、じゃないよな、これ。実態は、ジェイソン・ベイトマン主演の変則的な「片思い」映画である。コメディだけど、笑えない話だし、ロマンスだけど、ぜんぜんロマンティックじゃない。

友人以上の好意を抱いていた女性が、年齢を理由にしてドナーから精子の提供を受けて人工妊娠で子供を作ると決意してしまう。施術により妊娠に成功した女性は出産と子育てを理由に田舎に帰ってしまう。7年後、子供を連れてNYに戻ってきた女性と「友人」として再開した主人公は、「友人」として彼女の子供と接するうち、内向的でややこしい性格の子供が、ドナーとなった男に似ていないばかりでなく、むしろ、自分に似ていることに気づく。そういえば、記憶があやふやなんだが、施術の前に、酔った勢いでドナーの精子と自分の精子を入れ替え(=The Switch, 原題)たんだっけ。

本質的には、お互いに憎からず思っていながら、互いの関係を「友人」と定義したがためにややこしい関係に陥る男女が、大きな回り道をしてあるべきところに収まるという話ではある。そこに「人工授精で作った子供」と、「裏の事情」、裏の事情を知らない「ドナー」との関係に深入りしていく女、いまさら裏の事情を話すわけにいかなくなって窮地に陥る男、と、映画ならではの複雑な状況を作り出し、スムーズに流れる話にまとめあげた脚本が秀逸。

人工授精のプロセスで、ドナーの精子を第三者が勝手に入れ替えるなどという無理のある要素を含む設定も、「大きな決断である施術に当たって、勢いも必要だと知人・友人を招いてパーティを開く」、「パーティには医者も招き、そのまま自宅で施術」、「誰のものか分からない凍結精子は嫌なので、自ら募って選んだドナーをパーティに同席させ、直前に新鮮な精子を採取」などの、大嘘・大技を自然な流れの中で連発する力技には脱帽する。しかも、そこまでやってのけて映画の半分、というか、前段に過ぎないのだから大変だよ、これは。アラン・ローブ(『ウォール・ストリート』『ラスベガスをぶっつぶせ』)って、なかなかやるじゃないか。

ジェニファー・アニストンは、いかにもこういう身勝手なことを言い出しかねない「都会で働く自立した女性」像を、嫌な女にみせずに演じていて適役。実質的な主人公を演じたジェイソン・ベイトマンがなかなかうまい。いつも目立たない脇役ポジションで、名前と顔がつながらなかったのだけど、この映画で覚えたぞ。実は子役上がりの大ベテランなんだね。一見爽やかだが、あんまり中身のなさそうな「ドナー」をパトリック・ウィルソン。その他、ジュリエット・ルイス、ジェフ・ゴールドブラム がちょっとした役で出ている。監督はジョシュ・ゴードンとウィル・スペックのコンビ(『俺たちフィギュアスケーター』)。こういう映画が撮れるんだね。びっくり。

2011/11/19

妖精ファイター(2010)

Tooth Fairy (☆☆☆)

ロック様ことドゥウェイン・ジョンソンは、映画界への転身を一番うまくやってのけたレスラーといっても過言じゃあるまい。とりたてて演技がうまいわけではないが、立派な体格で存在感は抜群だし、子犬のような愛嬌があったりする。出演する映画の幅も、かつてのシュワルツェネッガーがそうだったように、アクションとコメディの両方にまたがっていて、なかなか器用なものである。まあ、日本のマーケットではどちらの路線も冷遇されているけどさ。

で、この作品は、ファミリー向けのコメディのほう。『妖精ファイター』、原題は「歯の妖精」。ファイターって・・・・何。

抜けた乳歯を枕の下に置いておくと、「歯の妖精」さんがやってきてコインと歯を交換してくれる、という西洋の言い伝えがありますな。米国ではコイン=クォーター(25セント)が相場だと思っていたら、映画の中では1ドル紙幣だっていうんだから乳歯の値段も高くなったものだ。

ドゥウェイン・ジョンソンが演じるのは、盛りを過ぎたアイスホッケー選手である。この男が付き合っているシングルマザー(アシュレイ・ジャッド)の連れ子に、歯の妖精なんていないと現実を教えようとしたため、妖精の世界に召喚されて「夢を壊そうとした罪」を問われ、1週間のあいだ「歯の妖精」の仕事につくことを強要されるという話なんだな。

この主人公は、ラフなプレイで知られていて、試合中に相手選手の前歯を折ったりするものだから、皮肉なことに「Tooth Fairy」などというニックネームが付いている。そのイカツイ体に童話風の羽が生えてきて本当の「歯の妖精」にさせられてしまい、悪戦苦闘するというのがメインプロット。あの「ロック様」がメルヘンな衣装に身を包み、作り物の羽がピロピロ生えている絵面はなかなかミスマッチ、良い意味で恥ずかしい。

妖精の世界を取り仕切るボスは、なんと、(声だけを除けば)『プリティ・プリンセス2』以来、6年ぶりの出演となるジュリー・アンドリュースだ。1935年生まれだというから、それなりのお年になっているんだが、とても優雅で美しく、貫禄もあり、コメディのセンスもあるんだからスゴい。妖精が仕事をするために必要なガジェットを用意してくれる、いってみれば「007におけるQ」の役周りがビリー・クリスタル。出演時間は短いのに、しっかり笑いをとっていく軽妙な演技と話芸はさすがだ。

単にドタバタに終始するだけでなく、現実的でシニカルな主人公と、恋人の連れ子たち、妖精界の「ケースワーカー」として主人公に付きそう羽のない妖精との関係を積み上げていく中で、なんと、主人公が過去の挫折から再起する物語へと収斂させていく脚本がなかなか秀逸。ローウェル・ガンツとババルー・マンデルっていえば、90年代にビリー・クリスタルやハロルド・ライミス、ロブ・ライナーらとコメディの佳作をものにした脚本家コンビじゃないか。監督はTVがメインのマイケル・レンベック。

2011/11/16

お願い!プレイメイト(2009)

Miss March (☆)@WOWOW録画

主演しているザック・クレッガーと トレヴァー・ムーアが20世紀フォックスからカネを引き出して作った(脚本・監督)は薄笑セックスコメディ。

高校時代に清いお付き合いをしていた男が、プロムの夜のアクシデントで昏睡状態となってしまう。4年後に目がさめてみると愛する清純な彼女はなんと"ミス3月(原題)"としてプレイボーイ誌のカバーを飾っており、赤裸々なセックス体験を語っているではないか。子供の頃からの悪友に引きずられ、プレイボーイ帝国を築いたヒュー・ヘフナー邸で行われるパーティに潜入するために、サウスキャロライナからLAまでの珍道中が始まる、という話。

なんか、本国で公開した時に当たってた記憶があったので見てみた。が、ひでぇーなー、これ。

下世話なコメディは珍しくもないけど、キャラクターに爪の先ほども共感できないんだから困る。特に、主人公の悪友のキャラクターが最悪。ネジの切れたセックスキチガイでもいいよ。でも、『アメリカン・パイ』のスティッフラーだって、ここまで酷いキャラクターじゃなかった。ただの非常識男、トラブルメイカーという枠を超えて、悪人なんだもの。いくら非常時だからって、彼女の顔をフォークで刺して逃げるか?車から路上に放り出された女をそのまま放置するか?昏睡状態の友人をバットで殴るか?これで笑えというほうが無理だよ。

ロバート・ワグナーをヒュー・ヘフナー役にキャスティングして撮影していたのだが、ご本人がラフカットを気に入って出演を快諾したがゆえ、ヒュー・ヘフナー登場シーンを本人出演で全部撮り直したんだそうだ。おかげでロバート・ワグナー(『オースティン・パワーズ』のナンバー・ツーな)は、この救いがたい駄作に顔が残らずに済んだわけだ。

2011/11/09

デート&ナイト(2010)

Date Night (☆☆☆)@WOWOW録画

コメディ好きにはお馴染み、『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレルと、「サタデー・ナイト・ライヴ」のヘッドライターも務め、サラ・ペイリンのモノマネでも話題を呼んだ才女、ティナ・フェイが共演するコメディ映画。原題は"Date Night"だけど、邦題はトム・クルーズ主演作にひっかけて、なぜか真ん中に「&」が入っちまうんだな。

2人が演じるのはニュー・ジャージー暮らしの子持ち・共働きの夫婦。仕事に子育てに忙しい毎日だが、ときおりベビーシッターを頼んで夫婦二人の時間("Date Night")を楽しむようにしている。といっても、普段は近所のファミレスで食事したり映画を見に行ったりする程度のことなのだが、ある日、ちょっとした思いつきからマンハッタンで超人気の高級レストランに出かけて特別な夜を楽しもうとしたことから、トラブルに巻き込まれ、とんでもない一夜を過ごすことになるというお話し。もちろん、その経験を通じて二人の絆が一層深まるという定番のストーリー。

気楽に見られて、気持よく笑える良作。主演のこの二人は、普通にしていたら「普通の人」に見えるが、やはり芸達者。「普通の人が、普通でない状況におかれて、普通じゃない行動をとるが、本人達にそれほどだいそれたことをしているという自覚があるわけでもない」という一連の流れに説得力を与え、観客から好感され、過度なコメディ演技に陥ることなくきっちり笑いをとるのって、案外難しいものだよね。二人の相性も抜群で、もはや小手先の「演出」を必要としないレベル。これ一本じゃもったいない、このコンビで何本かやってほしいと思う。

それと、この映画、配役が映画ファン的には豪華。マーク・ウォルバーグ、ジェームズ・フランコ、ミラ・クニス、マーク・ラファロなどが登場。いつも上半身裸のマーク・ウォルバーグが画的に面白すぎる。

監督はショーン・レヴィ。スティーヴ・マーティン主演の『12人のパパ』『ピンク・パンサー』、ベン・スティラー主演の『ナイト・ミュージアム』シリーズ、そして待機中の『リアル・スティール』でコメディじゃないジャンルへも挑戦している。一応、スマッシュ・ヒットが続き、手堅く「計算」できる監督なんだろうが、本作を含めて、あんまり監督の手腕で映画が成功したとまでは思えない作品ばっかり並んでいるんだよなぁ。