2011/09/20

恋する宇宙(2009)

Adam (☆☆☆)@WOWOW録画

あー、何を期待したら良いのか分からない、意味不明な邦題ですが。

原題はAdam、主人公の男の名前ですね。で、この男、あきらかに日常生活に難儀を生じるレベルのアスペルガー症候群なわけ。彼を庇護してきた父親を失い、折からの不況で(父親の後ろ盾によって就くことができた)職も失ってしまう。この男が、同じ建物に越してきた代用教員をしている女性と出会い、恋をし、次第に交流を深めていく。これは、そういう真面目で苦目なロマンティック・コメディ(だけど、コメディのほうにはあまり重心がない)なのね。ちなみに製作はお馴染み"フォックス・サーチライト・ピクチャーズ"だから、お気楽なデート・ムービーではないことは、自明。

この映画は、わりと面白い。互いに好意を抱いていても、その距離を縮めるため、互いに乗り越えなくてはならない大きな障壁を抱えたカップルの話という意味では、普遍的な物語でもある。また、夢物語のように甘い話にはなっていない。乗り越えられない一線もあるのだ。でも、つらい現実を追認して終わるような冷たい映画ではない。ほんの少しだが、将来への希望を垣間みせて幕を閉じる脚本はとても後味がいい。

男の発達障害をどのくらい正確に描いているかはわからない。が、この映画の主人公は"「王様は裸だ」と声を上げてしまうある種の純粋さ(とKYさ)を持ち合わせた子供"と重ねあわせて描かれている。周囲に庇護されてきたがゆえの、精神的に未成熟なところを持った青年だ。女性は主人公のそんなところに惹かれるが、それゆえに素直なハッピーエンドには向かうことができない。

で、男が宇宙、天体観察等にも興味を持っているエンジニアで、自室がプラネタリウム状態になっていることが・・・「宇宙」?なんだよね。きっと。

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