2010/08/17

パッセンジャーズ (2008)

☆☆☆(@WOWOW録画)

WOWOWの放送を録画して、ロドリゴ・ガルシア監督、アン・ハサウェイ主演の『パッセンジャーズ』を見た。劇場公開時には気がついたら終わっていて、見逃してしまっていた。最近、記憶力がとみに衰えてきて、ロドリゴ・ガルシアって誰だったのか記憶にない。調べたら、『彼女をみればわかること』を撮った人だったのな。Bunkamura ル・シネマで見たよ。ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの息子。男なんだけど、女性心理を描くのがうまい、というのか、ル・シネマでかかるような映画を撮る人、というイメージだったんだが、案外、そんなイメージは立った一本の映画で決まっているものだ。

『パッセンジャーズ』は、ソニーピクチャーズ傘下・トライスター名義のれっきとしたメジャー作品である。飛行機事故を生き残った乗客たちのメンタルなケアをまかされたカウンセラーとして主人公が登場し、グループセッションを行っていくうちに、事故の真相はエアラインの主張と異なるのではないかと疑義を抱くようになる。墜落の前に爆発を見たと話した乗客たちの姿がひとり、またひとりと消えていくのはエアラインの陰謀なのか、それとも?という話である。地味に展開する話しだが、アン・ハサウェイは相変わらずキュートだし、脇役のデイヴィッド・モースやダイアン・ウィースト、クレア・デュバル(をを、こんなところに)が、いかにもなタイプキャストながらいい味を出していて、初見であれば飽きずに見ていられる。

航空事故で失った息子が、そもそも存在しないことにされてしまうジュリアン・ムーア主演『フォーガットン(2004)』とか、航空機内で娘がいなくなり、そもそも乗ってなかったことにされてしまうジョディ・フォスター主演『フライト・プラン(2005)』とか、女優を主演に立てて、飛行機・航空機事故が関係してて、いるはずの人が消える・いないことにされ、これは陰謀か?となるミステリーっぽいシリーズ(笑)として、私の頭の中では同類の映画に分類されていた。いや、どれもぜんぜん違うストーリー展開なんだけど。

まあ、ぜんぜん違うとはいえ、『フォーガットン』のような愛すべきバカ展開を見ていると、本作も普通のミステリーではなかろうという先入観で見てしまうのである。いったいどういうオチかと思って、いろんなパターンを考えていたのだが、まあ、しかし、あれだ。映画の主眼は主人公の内面を描き出していくところにあるとしても、2段落ちというか、これをやってしまうと、それまでの展開はなんだったんだ、と思わないでもない。こっちに話しを持っていくなら、辻褄も伏線も何にも気にしなくていいわけで、ある種の夢落ちである。アン・ハサウェイの姉役の役者さんが、いかにも姉妹という佇まいがあって感心した。ラストシーンの余韻は好きだ。

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