2010/03/09

第82回アカデミー賞の雑感

第82回アカデミー賞にはあまりサプライズがなかった。波乱があったのは脚色賞と外国語映画賞。割をくったのは脚色賞を取り損ねて結局無冠に終わった『マイレージ、マイライフ(Up in the Air)』か。あと、技術部門はもう少し『アバター』が持って行っても良かったが、音響編集(sound editing) と録音(sound mixing)を『ハートロッカー』に奪われて、存在感が薄くなった。

女性監督としては初の受賞になったキャスリン・ビグロウ。昔から女性なのに男勝りな映画をつくると評判だった。彼女の作品はどれも荒削りでバランスが悪く、作品の完成度という観点でいえば、いまひとつというのが常だった。今回は題材がはまったというのもあるだろう。

今年のショウはアダム・シャンクマン演出(プロデュース)で、司会はたらい回しの挙句にスティーヴ・マーティン&アレック・ボールドウィンに落ち着いた。僕は昔からスティーヴ・マーティンが好きなのでこれはこれで楽しめたけれど、アダム・シャンクマンの演出が平板で不発。作品賞10本ノミネートで紹介に時間をとられるせいか、いつにも増して余裕のない進行だった。

昨夏に死去したジョン・ヒューズへのトリビュートがあったことは嬉しかった。監督作も多くはないし、ファミリー向け作品のプロデュースに専念するようになってからは退屈ですらあった。でも80年代に彼が残した数々の青春映画は、「ハイスクールもの」というジャンルを永久に変えてしまうだけのインパクトと影響力があった。そして、彼の作品を見て育った世代が現役として活躍している。今回の企画は、彼の作品がみなに愛されていることを再確認できて有意義だったと思う。

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