昨年夏から刊行が開始された「藤子F不二雄大全集」を定期購読している。先月から第2期の刊行が始まった。今月の刊行は3冊、いつもより早めに届いたので、休みのうちに一気読みしてしまった。
『大長編ドラえもん(1)』
「のび太の恐竜」「のび太の宇宙開拓史」「のび太の大魔境」の初期傑作3本を収録。
『少年SF短編集(1)』
1975~1979の少年サンデー・同増刊に掲載された作品9本を収録:ポストの中の明日・ひとりぼっちの宇宙戦争・おれ、夕子・未来ドロボウ・流血鬼・ふたりぼっち・宇宙船製造法・山寺グラフィティ・恋人製造法。
『パジャママン/きゃぷてんボン他』
1973~1974のテレビマガジン・たのしい幼稚園・おともだち他に連載された「パジャママン」、1976のてれびくん連載「きゃぷてんボン」と1975おともだち掲載の絵物語風「とんでこい ようちえんバス」を収録。
「大長編ドラえもん」、「少年SF短編集」は、収録作品はどれも定評のある名作。大長編は単行本入手が容易だし、短編もいくどとなく編纂された短編集になんども収録されてきたものばかり。まあ、これを機会に再読、といった感じ。
だが、今回、この2冊、連載時のカラーページを再現しているのが売り物になっていて、ちょっと違った読み方もできる。これらのカラーページのなかで、単行本化に際しての描き足しが行われたコマがカラーになっていなかったりするのである。何を描き足したのか、それによって作品がどう膨らんだのかを理解できると思う。
さて、今月の目玉は、全作品単行本初収録となる「パジャママン」である。
これは、作品の存在を知らなかった。連載誌でわかるように幼年向けマンガではあるが、これがなかなか楽しい内容である。大昔に事故を起こして地中に埋没した地球外文明の意志を持った「宇宙船」と友達になった子供たちが、特殊な能力を発揮できるスーツ(パジャマ)をもらい活躍する話。表面的には「パーマン」のさらに幼年版といった風情。主人公たちも幼い子供だし、絵柄や説明は確かに幼年向けマンガ。しかしバックストーリーや設定にSFマインドを感じさせるし、それをストーリーに活かしているところが好印象。
併録の「きゃぷてんボン」は、しっかりものの少年主人公に、子供みたいな発明家の父という組み合わせが珍しい。あと、パーマンに出てくる百面相が本作にも客演している。
ちなみに、『パジャママン/きゃぷてんボン他』の帯に、「第2期全33巻」とあるべきところ、「第1期全33巻」と書かれているミスがあったヨ。
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