2010/09/22

ブラッド・ワーク (2002)

Blood Work (2002) ☆☆☆★(@WOWOW録画)

しばらく前のクリント・イーストウッド特集時に録画してあったのを見た。『スペース・カウボーイ(2000)』後、『ミスティック・リバー(2003)』前のエアポケットというか、このころは大作や野心作の合間に、『目撃 (1997)』、『トゥルー・クライム(1999)』といった肩の力を抜いた娯楽ミステリーを撮っていた。個人的には本作をあわせて勝手に軽量娯楽トリロジーだと思っている。こういうのはもう撮らないんだろうね。ホッとするような(?)面白さなんだけど。この三本のクリントの役柄も、泥棒・ジャーナリスト・元FBIとバラエティに飛んでいてね。あ、どれ見ても一緒だなんていっちゃだめ!

本作が公開された頃は、国内興業では主演・クリント・イーストウッドの名前で観客が呼べなくなり、どんどん扱いが悪くなっていった時期だった。『トゥルー・クライム』は銀座シネパトス公開。この映画も、形ばかりは丸の内ルーブルの年末興業であったが、正月を待たずに入れ替えを前提とした2週間打ち切りという捨て駒扱いだった。

まあ、そんな不幸な扱いを受けた本作『ブラッド・ワーク』を久しぶりに見たが、やっぱりこれ、じんわりと面白い。連続殺人事件を追っていた主人公が心臓で倒れ、引退。心臓移植を受けてリハビリ生活を送っているところに、心臓の提供者の妹が現れ、姉を殺した犯人を捜すよう求められる。主人公を扱った新聞記事を読み、珍しい血液型、移植の行われた日と姉の死んだ日などの一致点から臓器の提供先が主人公であると知ったのである。事件の捜査に乗り出した主人公は、やがて偶然の強盗殺人と思われた類似事件との共通点から、それらが目的を持って用意周到に実行されたものであることに気づく。

マイクル コナリー原作(『わが心臓の痛み』)、ブライアン・ヘルゲランド脚本。イーストウッドの無駄なく安定感のある演出が、キャラクターに血肉を通わせ、単なるサスペンス・ミステリーとしてだけでなく、ドラマとしての味わい深さを与えている。隣人として主人公に運転手役などで協力するジェフ・ダニエルズが好演。主治医のアンジェリカ・ヒューストンもいい(←いつもは化け物っぽいけど、普通の役もできるのね、という意味)。

1 件のコメント:

  1. 私もこの映画、好きですよ。どこかのんびりというか、気楽に作られたところがあって。ショットガンぶっ放すのは、イーストウッド映画だから観客サーヴィスなのでしょうね。
    原作は未読なのですが、エンディングが違うという話を聞いたような…。いつかこの本まで辿り着くでしょう。

    ところで1997年の映画は『目撃』ですね。これも気楽なのんびり路線で好きでした。
    『黙秘』は原作をかなり変えた構成でも面白かったですね。名女優2人が主演なのに、今ではすっかり忘れられている映画になっていますが。

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