9 (☆☆☆)@WOWOW録画
劇場で見損なっていたティム・バートン製作、シェーン・アッカー監督によるCGアニメーション『9 ~9番目の奇妙な人形』をWOWOWの録画で観た。普段は字幕版を好んでみるのだが、今回はたまたま放送があるのに気がついて録画したため、吹替版での鑑賞。
お話しは、戦争で人類が滅びた後の地球で目覚めた麻袋で作ったようなデザインのロボット人形「9」が主人公。彼が自分と同じように、背中に番号がふられた仲間たちと出会い、さらわれた仲間を助けようと冒険を繰り広げる中で自分たちの存在の意味を知る。というもの。少しダークな感触の、寓話仕立てのファンタジーだ。
もともと監督が作った短篇があり、それを気に入ったバートンが製作を買ってでて長編化された作品なのだそうだ。独裁者が起こした戦争、テクノロジーの暴走、人間と機械の最終戦争、人類滅亡後の世界といった背景設定や世界観は、手垢がついたものである。また、生き残った人々(というか人形たち)のコミュニティにおける人間(というか人形)関係のドラマも、まあ、既視感があるわな。人類を滅亡へと追いやった機械の化け物のデザインなども、どこかでみたイメージの借用である。
が、それでもこの作品を面白く観た。一つ一つの要素は確かにとりたてて新しくはないが、ひとつの作品にまとまると化学変化を起こし、何がしかのオリジナリティが立ち上がってくるように思うのだ。だいたい、メインストリームのファミリー向け商業アニメーション作品としてはかなり異色のテイストである。そして、そこにこの作品の魅力と価値があると思うんだよね。
麻袋で作ったような人形たちのデザインが面白い。製作を手がけているティム・バートンが好きそうだな、と思う。麻袋っぽいといえば『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』に出てきたブギーに似ているし、ツギハギっぽく糸で縫い止めたりするのが、サリーだったり、キャット・ウーマンの衣装だったりを彷彿とさせる。単純なようでいて、9体それぞれの個性をデザインに反映させていて、なかなか楽しいしよく出来ている。
最後あたりの展開は、ちょっと意味不明。「生きている」というよりは、取り込まれたまま行き場を失った魂を解放するということだとは思うんだけど、日本語吹き替えだったので、もともとどんな台詞になっていたがわからないところにフラストレーションを感じる。やっぱり、オリジナル言語で聞きたい。
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